今の職につく前、10年間ほど高校の教員をしていた。
担当科目の関係で3年生の担任が長かった。
当時は今ほど大学の教員が高校へ募集活動には来ていなかったけれど、それでも定員確保が厳しくなってきた大学からは、指定校推薦の書類をもってせっせと営業活動にやってきた。
年配の進路指導の教員は、「大学教授がわざわざ書類を持ってきてくださって」なんて単純に喜んでいたが、若い教員の仲間内では、「あそこは危ないんじゃないか?」という話をしていた。
教員が授業や研究の合間に学生募集に回らなければいけないほど大変なの?っていう具合。
今では多くの大学が高校回りを教員がやっているので、どこも大変だなと思う程度でしょうが。
大学内でも高校回りが必要だといっているのは、募集対策で教授や准教授として採用された年配の元高校の校長であることが多い。
結構、彼らは第二の人生を大学の教員として暮らしているということが自慢のようだ。
僕が高校回りの大学教員の募集活動の話を聞く立場であったときに感じていたことは、突然連絡無しにやってこられて、要領の得ない話を聞かされるのはとても迷惑だったということ。
お昼休みなんかに来られるともう最悪で、昼食を取れずに3時過ぎまで授業なんていう時には本当に最悪だった。
指定校推薦以外では、1つの大学だけを薦めるということは絶対にありえません。
薦めた学校に入学後、その生徒から苦情が来た場合、責任をとる事ができません。
大学の内容を良く知っていて薦められるという大学って、普通は自分の出身大学ぐらいじゃないでしょうか。
高校を回るよりももっと高校生や受験希望者に直接働きかけられる広告媒体を使ったほうが効果的だと思います。まず受験生に直接知ってもらうこと。
今ではインターネットを活用すれば、進路の先生からよりも多くの情報を得ることができますが、やはり自分の目で見ることが大切。
高校教員時代に受験生に言っていたことは、大学を見に行った時、「必ず図書館と食堂や売店を見てきなさい」ということです。
意外と高校の図書室のような図書館しか持っていないところがあります。
また、郊外で文具や雑貨店、食べ物のお店が無いにもかかわらず、食堂や売店が貧弱で不便な大学もあります。
年間100万円以上の授業料を払うのだから、学生へのサービスがどれだけあるのか見てきなさいということです。
こんなことは、高校回りできた大学の先生は進路担当の高校の教員には教えてくれません。
そう言う僕も今では大学広報の方針で授業と研究の合間に高校回りをせっせとやっていますが…